第12回 社会人大学院生の経験から

西向仁史(北海道医療大学)

私は、40歳を過ぎてから社会人大学院生となり、経営学の修士を取得しました。
皆さんは社会人として大学院で学ぶ自分自身を想像できるでしょうか?
また、大学院で学んでみたいと思われたことはありますでしょうか?

大学職員になる前の私は、大学院を難しい研究をする場所と考えていて、全く興味を持っておりませんでした。また、高校からの友人が大学卒業後に大学院へ進学したことや、就職時の同期入社に修士修了者がいたこともありましたが、私自身が進学することなど考えたこともありませんでした。しかし、大学職員になり、大学院生と話す機会や大学院での学びを知る機会が多くなり、興味を持ちました。

個人的な経験ですが、自動車を購入するために自動車ディーラーへ行ったときに、車を所有せず自転車通勤している営業担当者から説明を受けたことがあります。その営業担当者はモデルチェンジした新型車の魅力を熱弁するのですが、私はどこか冷めてしまい、そのディーラーへは二度と行くことはなくなりました。

自分自身について思うのですが、「大学院に進学を考えています。」と相談されたときに、私が自信を持って進学を勧めるには、自分自身が修士を取得していた方が自分の経験を踏まえて話せるのではと思う事があり、これも興味を持った理由です。

大学院に興味を持ち、現実的に通学可能な大学院を調べてみました。
①自分に合った研究テーマがある。
②仕事に影響なく夜間、土日に開講されている。
③社会人入学枠がある(入学試験の勉強はもう無理です...)。
④入学金や授業料に社会人減免措置があり、ハローワークの教育訓練給付制度もある(少しでも経済負担を少なく...)。
欲を言えばきりがありませんが、これらに該当する大学院は意外に多くあり、候補リスト1番の大学院の入学説明会に参加しました。

社会人の入学枠があることから、説明会には20歳代から私よりも歳上の方まで幅広い年齢層が参加されていました。説明会終了後に、その場で研究テーマを訊かれ、情報工学をミックスしたような特殊(異端)なテーマをしか思い浮かばなかったのですが、会場におられた一人の先生から、「それであれば私が指導できますよ。」と声をかけられ、修士論文や研究の進め方などの話を伺ううちにイメージが明確になり、入試対策までしていただきました。

入試は基礎教養ではなく研究テーマの提出と面接試験であったため、研究テーマの明確性と研究が続けられるかがポイントなのだと思います。指導教授も当日声をかけていただいた先生が引き受けていただきました(入学願書に指導教員の名前を書く欄があることを初めて知りました。)。

私が入学した大学院は社会人大学院生が8割以上在籍していたためか、授業では議論することが多く、大変有意義な時間でした。現場がなぜこのような状況なのかを理論で補完されることも多く、また、現場を知らない科目教員に対し、現場の実情をぶつけることもありました。他の社会人大学院生からも多くの異業種の情報を得ることができ、業種や立場が変われば答えが違うことも学びました。

大学院で学んだ行動学や組織論、心理学は対人スキルやマネージメントスキルの向上に役立ちました。また、修士論文を作成するために学んだアンケート手法やデータ分析方法も業務で活かされています。さらに、大学院の教務担当をする上では重要な経験であったと思います。

最後に、「今より5歳若ければ進学したのに...」と思っている方がいれば、私の経験からお話ししますと、その後悔はこの先も続きます。25歳で体力や暗記力が落ち、30歳で超多忙になり、35歳で家庭も忙しくなり、40歳で管理業務が増え...。
その時に諦める理由はいくつでもありますが、本当にできない理由なのでしょうか?
そうであれば、忘れてしまい気にならなくなるでしょう。そうでないから、いつの時も理由を見つけようとするのかもしれませんね。