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第39回 「場」としてのJUAM

辰巳 早苗(追手門学院大学)    この度、大変光栄なことに、リレーコラム執筆の機会をいただくことになりました。これまでのリレーコラム執筆者のみなさまの素晴らしいお顔ぶれ、内容に、後に連なるのは甚だ気が引けるところではありますが、お目汚し、失礼いたします。  私が大学職員になったのは、事情で民間企業を退職したあと、通りすがりのハローワークに立ち寄ったことがきっかけでした。私自身は大学在学中に事務室に行くことがほぼなく、どんな仕事かピンとこないままの応募でした。入職すると、当時の大学事務局は膨大な事務作業をみんなでこなしている感じの、経験したことがないのんびりとした雰囲気でした。教務課に配属になり、履修中の読み込みデータを全削除して職場を凍り付かせる事態も招きありながら、楽しく学生対応に勤しみました。女子大だったせいか人懐っこい学生が多く、授業の合間に訪ねてくれたり、卒業後も交流があったり、楽しく過ごしました。自分たちの活動に対する思いをしっかり持つ学生とのやり取りは学生を支援する職員の役割を考える機会にもなりました。  ただ、そんな毎日に私はどうやってこの先の仕事を進めていくのか、漠然とした不安を持つようになりました。不遜にもある程度の経験を持って入職したつもりだった私にとって、淡々と事務作業をこなしているだけに思える毎日に、これでは成長しないのではないかと図々しいモヤモヤを感じるようになりました。どうすれば成長の機会が得られるかと模索しはじめました。  そこで、まず情報を探してある大学職員の方のWebサイトを見つけました。このサイトは匿名の参加者の投稿で成り立つ形式のもので、いろいろな情報が惜しげもなく投稿され、日々このサイトをチェックして学び、徐々にいろいろな方とつながっていきました。そしてWebでのつながりをきっかけにJUAMの定期総会で研究会に飛び込み参加しました。当時まだJUAMは管理職が紹介を得て入会するハードルの高い組織で、学会関係者に知己のない私にはとても近づけるものではありませんでしたが、この研究会への飛び込み参加ののち正式にJUAMの末席に名を連ねさせていただくことになりました。  同じころ職場で桜美林大学の公開講座の参加の機会をもらったことで、またいろいろな方に面識を得ました。さらに、先に大学職員のネットワークを立ち上げていた...

第38回 IRRT(海外職員団体等調査・連携企画チーム)

 赤松 茂利(早稲田大学)  IRRT(海外職員団体等調査・連携企画チーム)は、「テーマ別研究会設置・運営要領」に基づかない組織として、2021年7月に国際委員会の中に設置されたプロジェクトである。第1期生(2023年6月まで)はJUAM会員の中で公募を行い、6名の大学職員が選ばれた。チームの主な活動内容は、①海外各国・地域の職員団体や大学等にかかわる調査および情報収集活動、②JUAMの国際連携案の策定、③成果の発信によるJUAM 会員への還元、の3点である。現在はIRRTのメンバーの専門分野や興味関心に応じて、複数のSpecial Interest Group (SIG)を構成し、各メンバーが主体的な調査活動を展開している。  当方は海外学生リクルート、海外アドミッション、外国学習歴・資格認証(Foreign Credential Evaluation/Recognition: FCE)(※1)などへの興味関心が高いため、IRRTの活動の一環として、国際的な資格評価者(Credential Evaluator)の職能集団であるThe Association for International Credential Evaluation Professionals (TAICEP)への接近を試みた。2021年11月のAnnual Conference(オンライン実施)への参加を通じて痛感したのは、この業界における「日本の存在感の希薄さ」の一言に尽きる。アジア地域の関心事(セッション内容)の大半を中国が占めるのは学生の国際流動性の規模から見て当然ではあるものの、そもそも日本からの会員は2019年9月に設置されたNIC-Japan(高等教育資格承認情報センター)の方々数名と私しか見つからないので、会員人口比からプレゼンスを示せないことも大きく影響しているように思われる。カンファレンスでは会員が実際に扱ったFCEの難案件を持ち寄り、経験が豊富な資格評価者が公開審査(=お悩み解決)を行う「Credential Doctor」という催しがあるのだが、管見の限り、日本のケースが扱われることはなかった。  こうした実情を背景に、海外団体との連携を深める第一歩は、我が国の情報を正しく発信することであるとの考えのもと、IRRTでは全国の大学を対象としたFCEの評価実態に関する...

第37回 自己啓発の取り組みはどのようにして活用に至るのか─その困難と課題─

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 中元 崇(京都大学) 1.はじめに  先般リレーコラムのご依頼をいただきましたが、テーマは自由とのことで、どのような題材にするか悩みました。現在の業務や業界について思うこと、あるいは大学院の経験について執筆しようとも思いましたが、他の執筆者と重ならないテーマであれば読者もフレッシュに読んでいただけるかと考え、私の博士論文を題材に、いわば「自著を語る」機会にしたいと思います。  博士論文の題目は 『大学職員の自己啓発による職務能力の形成と活用に関する研究』 です(リンクからダウンロード可)。大学職員の方が大半である JUAM 会員の皆さまにも関心を持っていただけるような題目のものかと思います。 2.博士論文の概要 (1)執筆の背景  大学職員の職能開発に関して、私自身は少なくとも入職時には全く意識していなかったというのが率直なところです。「たまたま」のこととして、国立大学法人化の転機、出向の転機が重なり、自発的に学ぶようになったり、また同様の志を持つ方に出会うようになりました。そうした方の中には、学内外での勉強会や研究会等を主導されたり、自費で大学院等に通われたり、大変精力的に頑張られている方もいらっしゃいました。  ところがある時、必ずしもそのように学んでいる方が職場から評価されたり、その学んだ内容を活かせるような処遇を受けているわけではないということに気づきました。当初は時間の問題とも思いましたが、何年経とうともそのような傾向が変わることもありません。これはいったい全体なぜそうなっているのだろうとの思いを持つに至りました(このあたりの詳細は博論 p.15-16 を参照)。  このように、入職後の学びが評価・処遇に反映されない背景には、業界を問わず日本の雇用関係全体を規定する「日本型雇用システム」の存在があります(このシステムの詳細は労働学者の濱口桂一郎さんの 『新しい労働社会』 を始めとする諸著作をご参考ください)。このシステムでは一部専門職を除けば、個人が保有する知識・スキルと、与えられる業務が結びついておらず、採用後に個人が独自に何かしらの知識・スキルを身につけたとしても、それを組織が評価し、適切な処遇を行うことには(直接には)結び付きません。  このシステムは大変強固なものです。なにしろ高等教育機関という、社会人の学び直しの機会を提供し、学び直しで...