第23回 寄席に行ってみませんか?

 齊藤 琢磨(熊本学園大学)

 学会と私の関わりについては令和3年8月の教育学術新聞で書かせていただいたので、今回は私の趣味について述べたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症が本格化して1年と10ヶ月近く経過しようとしています。学会はもちろんのこと、社会全体に多大な影響を及ぼしています。
 コロナ禍の前、私は東京に行く度に時間を見つけて落語などを聞きに「寄席」に通っていました。寄席について簡単に述べると、落語を中心に、講談、浪曲、漫才、手品や演芸などを楽しむことができる場所です。日曜夕方のテレビ番組「笑点」の出演者の方々も寄席に出演されています。
 東京には大きいところで以下の4箇所があります。
  ・鈴本演芸場(上野)
  ・末広亭(新宿)
  ・浅草演芸ホール(浅草)
  ・池袋演芸場(池袋)
 ここでは毎日、お昼から午後9時頃まで興行されており、3,000円程度で途中入退場自由となっています(再入場は不可。例外あり)。前述のとおり、寄席は落語だけではなく、漫才や手品なども催されており、落語の合間の気分転換にちょうどよいです。「てじなーにゃ」で有名になった山上兄弟も寄席で活躍しています。

 寄席に通うきっかけは、とある日曜日に野球のデーゲームを観戦するつもりだったのですが、雨で午前中の早いうちに中止が決定し、どうしようかと考えてた時、以前とある方から「東京に行ったら寄席に行ってみなっせ。東京の違う一面を見ることができるよ」と言われたことを思い出し、最寄りの池袋演芸場に行ったことです。
 落語の世界には、弟子入り間もない「前座見習い」、その後「前座」、経験を積んだ「二ツ目」、そして最高位で弟子も取ることができるようになる「真打ち」と4つの段階があります。おおよそ二ツ目を10年勤めると真打ちになることができます。ちょうどその時は「真打披露興行」といって、真打ちになったばかりの落語家の披露が行われていました。落語家にとって、真打ちに昇進するということは長い修業の後、ようやく落語家として認められることになり、披露興行では所属団体(落語協会や落語芸術協会など)の幹部や新真打ちの師匠が顔を揃え、観客に新真打ちが披露されます。最後に観客も一緒に彼らの前途を祝して手締めを行い、落語家と観客が一体となり、とてもあたたかい雰囲気になったことを覚えています。
 それがきっかけとなり、上京した際に時間に余裕があれば、寄席に通うようになりました。出入り自由ですので、ちょっとした時間に立ち寄ることができます。寄席と聞くと敷居が高いようなイメージをされると思いますが、そういったことは全くなく、普通の服装の方が大半です。JUAMの研究集会終了後に行ったときはスーツを着ていたのが私1人だったので、目立ち「日曜なのにスーツとは、今日も仕事だったの?」と高座から落語家の方に話しかけられたほどでした。
 落語で使う道具は扇子と手ぬぐいくらいなもので、あとは身振り手振り、表情で表現を行う芸になります。よって、聞き手はその場面を想像しながら噺を聞くことになります。コロナ禍のため、上京もままならず、オンラインで聞くこともあるのですが、やはりパソコンやスマートフォンの画面では細かい仕草や息づかいまでわからず、つい眠くなってしまいます。落語をはじめ、様々な文化芸術公演が行われる東京近郊に住んでいらっしゃる方が羨ましいです。寄席もコロナ禍で随分打撃を受けたようです。仕事帰りや休日に寄席に行ってみてはいかがですか?
 さて、真打ちに昇進される方の年齢はおおよそ30代後半~40代前半が多く、私と同年代です。私のこれまでを振り返って、彼らのような努力をしてきたのか…まだまだ頑張らなければと思う日々です。