第2回 「人・本・旅」の宝庫である大学行政管理学会

近藤智彦(愛知大学)

コロナ禍の今夏、オンラインセミナーで立命館アジア太平洋大学学長の出口治明先生のお話を聴く機会がありました。分かりやすい例えやユーモアを交えた内容で、時間はあっという間に過ぎました。先生のお話の中で特に印象に残ったのは、人間の学びの方法についてです。今回はこのことを紹介したいと思います。

先生は、人間が賢くなる方法は「人・本・旅」に学ぶことであるとおっしゃっています。「人・本・旅」とは、「人間は人から教わることで、自分を成長させられる。本を読むことで、その本を書いた昔の時代に生きた人やはるか遠方にいる人から学ぶことができる。人や本から知識を学び、それだけではなく、旅をしていろいろな文化や伝統に触れて、さまざまな人や考え方、発想パターンを真似することで考える力が鍛えられる。」ということです。

このお話を聴いて私にとっての「人・本・旅」は、まさに大学行政管理学会(JUAM)であることを改めて認識しました。JUAMには1,200名を超える会員がいます。自大学の教職員から学ぶことはもちろんありますが、他大学の教職員の皆様からは、普段同じ環境のもとで仕事をしている自大学の教職員の間では気が付かないようなものの見方や考え方を教えていただくことがあります(人からの学び)。また、設立20年を超えるJUAMの学会誌や研究データベースには、数多くの研究業績や取組事例が蓄積されています。これらから得た知見は、自大学の制度改革や業務改善を進める際の参考になっています(本からの学び)。年に1度の研究集会、年間を通じて開催される各研究会への参加(旅)により、新たな出会い(人)があり、参加者の皆様からいろいろなことを教えていただくことができます。さらに深めたいことは関係の資料等(本)にあたって調べ、業務知識の幅を広げることになります。研究交流を通じて、自分自身の考え方や自大学の取組を相対化することができます。さらに、JUAMの良いところは、人事異動等により所属部署や担当業務が変わったとしても会員資格を有している限り、「旅」が途中で終わることはありません。所属大学の役職や担当者という立場で参画している学外の委員会等は、異動した時点で後任者へ交代することになりますが、JUAMの場合はその必要がありません。

今般のコロナ禍の中でもJUAMを通じてお世話になっている皆様から本当に多くのご示唆をいただき、感謝しています。JUAMに入会していなかったとしたら、物事の見方や考え方が今よりも狭く、問題に直面した時の課題解決に向けての手法の引き出しも少なく、具体的な提案が一つもできない職員になっていたかもしれません。新たな知識を獲得したり、人脈を形成する場所はたくさんありますが、私が今も大学職員を続けていられるのは、JUAMという「旅」に出て出会った「人」や「本」、さらにこれらを通じた様々な気付きの機会や励ましの言葉などをいただいているからだと思います。

予測困難な時代となり、イノベーションやアイデアが求められる場面は今後ますます増えていくと思います。自分の仕事を深掘りすることは大切なことですが、それだけではなく、いろいろな世界やいろいろな人の話を知っていると、あるとき、それらが結びついてイノベーションが生まれることがあります。出口先生の「人・本・旅」のお話を聴いて、自分の動き方次第で「人・本・旅」が掛け合わさって学びの世界が無限に広がる可能性を持っているJUAMの素晴らしさを再認識しました。次代の大学を担う若手職員の皆様には一人でも多く、その素晴らしさを実感してもらいたいと思います。

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