第38回 IRRT(海外職員団体等調査・連携企画チーム)
赤松 茂利(早稲田大学)
IRRT(海外職員団体等調査・連携企画チーム)は、「テーマ別研究会設置・運営要領」に基づかない組織として、2021年7月に国際委員会の中に設置されたプロジェクトである。第1期生(2023年6月まで)はJUAM会員の中で公募を行い、6名の大学職員が選ばれた。チームの主な活動内容は、①海外各国・地域の職員団体や大学等にかかわる調査および情報収集活動、②JUAMの国際連携案の策定、③成果の発信によるJUAM 会員への還元、の3点である。現在はIRRTのメンバーの専門分野や興味関心に応じて、複数のSpecial Interest Group (SIG)を構成し、各メンバーが主体的な調査活動を展開している。
当方は海外学生リクルート、海外アドミッション、外国学習歴・資格認証(Foreign Credential Evaluation/Recognition: FCE)(※1)などへの興味関心が高いため、IRRTの活動の一環として、国際的な資格評価者(Credential Evaluator)の職能集団であるThe Association for International Credential Evaluation Professionals (TAICEP)への接近を試みた。2021年11月のAnnual Conference(オンライン実施)への参加を通じて痛感したのは、この業界における「日本の存在感の希薄さ」の一言に尽きる。アジア地域の関心事(セッション内容)の大半を中国が占めるのは学生の国際流動性の規模から見て当然ではあるものの、そもそも日本からの会員は2019年9月に設置されたNIC-Japan(高等教育資格承認情報センター)の方々数名と私しか見つからないので、会員人口比からプレゼンスを示せないことも大きく影響しているように思われる。カンファレンスでは会員が実際に扱ったFCEの難案件を持ち寄り、経験が豊富な資格評価者が公開審査(=お悩み解決)を行う「Credential Doctor」という催しがあるのだが、管見の限り、日本のケースが扱われることはなかった。
こうした実情を背景に、海外団体との連携を深める第一歩は、我が国の情報を正しく発信することであるとの考えのもと、IRRTでは全国の大学を対象としたFCEの評価実態に関するアンケート調査を実施した(調査期間:2022年5~6月)。オンラインアンケートが送付可能な684校を対象とし(残る121大学はウェブサイトにメールアドレスもしくは「問い合わせフォーム」の公開無し)、96件の回答を得た(回収率14.0%)。調査を通じて、①約8割の大学がFCEの困難性に直面し、②約8割の業務従事者に自己研鑽の機会がなく、③デジタル学習歴証明の受理や「東京規約(※2)」といった今日的課題に率先して取り組んでいるのは約1割に止まることなどを明らかとした。調査結果の速報を以下のとおりまとめているので、さらなる興味のある方には是非、ご覧いただきたい。
外国学習歴・資格認証(Foreign Credential Evaluation/Recognition: FCE)に関する実態調査【調査速報】.PDF
このように、IRRTでは様々な活動を展開している。他にもAssociation of University Administrators (AUA)との連携の実質化や、Student Affairsの専門職能団体である米国・NASPAとの共修計画などを進めている。JUAMの会員の皆様には、これからもIRRTの活動にご注目いただき、皆様のご専門・ご経験を背景に、メンバーに対して積極的なフィードバックをいただけると望外の喜びである。
※1 外国学習歴・資格認証(Foreign Credential Evaluation/Recognition:FCE)とは、外国において付与された学位や学習歴に対し、それを所有する者を受け入れようとする国の教育制度や資格に比して同等性や接続性を評定する行為をさす。
※2 国際連合教育科学文化機関(UNESCO)による「高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約(東京規約)」のこと。日本は2017年12月に締結し、FCEの国際的水準を満たすことが喫緊の課題となっている。